Eigenanalysis
At which station am I?
隣接行列はグラフのトポロジ(接続関係)を示すものだった.しかし行列は接続関係を示すだけではなく,あるベクトルに作用して,他のベクトルを生成することもできた.たとえば,隣接行列を駅ベクトルに作用させることで次にどの駅に到達できるかを計算することができた.もう少しこの計算を続けてみよう.つまり,Weinmeisterstr に最初いるとして,各駅で乗り換えるかあるいは留まるということを繰り返す.その時,各駅に行く方法が幾通りあるかということが計算できる.ステップ数を増やしてみよう.まずは最初に Weinmeisterstr 駅にいる.Station1 stepWeinmeisterstr1Alexanderplatz0Hackescher Markt0Jannowitzbruecke0
2 ステップでそれぞれの駅に行く方法の回数は,以下になる.
Station2 stepsWeinmeisterstr2Alexanderplatz2Hackescher Markt1Jannowitzbruecke1
3 steps, 5 steps, 10 steps を計算してみる.
Station3 steps4 steps10 stepsWein.4263862Alex.6446688Hack.3253861Jann.3253861
どうやら Alexanderplatz に行く方法は他の駅に行く方法よりも二倍ほど多いようだ.これは単なる予想であるが,私はこのように予想することは数学では重要なことだと思う.私にとっては数学はパターンをみつける面白さでもあるからだ.
ここで,Alexanderplatz に入る可能性が step を大きくしていくと他の二倍近くなる,というのは,実は偶然ではない.そういうパターンのようなものがあるということ自体興味あることである.続く section ではこれについてもっと見ていきたいと思う.これまでで,グラフ理論や隣接行列を使っていろいろな性質を見ていくことができることはなんとなく感じてもらえるのではないだろうか.
ここで最初の質問に戻ろう.それは「人間関係を解析するにはどうしたらよいか」ということだった.ここで述べた数学では関係が重要であって,何の関係かは考えていない.つまり駅の間の関係であるか人間の間の関係であるかは区別しない.そのためこれを人間関係に応用することはたやすい.A 駅から B 駅に行くまでには,いくつの駅を通過するのか,と A さんから Bさんまでたどりつくには間に何人の人が介在しているのか,は同じ問題である.この隣接行列の性質を調べることによって,関係に関してさらに調べる方法が存在している.
次回はそれに関して述べよう.
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