今回は 3人の関係を考えよう.3人の関係では,行列は \(3^2\) の 9 の関係が生じる.以下図 10 の例を用いて説明しよう.
3つの点の関係は以下の 3x3 行列によって示される.
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
図 10 (a) は点1から点2への矢印がある.この時,行列の\(a_{12}\) 要素が 1 になる.したがって,この場合の隣接行列は以下のようになる.
\begin{eqnarray*} M_{(a)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
以下,図 10 (b), (c) の例を示す.
\begin{eqnarray*} M_{(b)} = \left[ \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(c)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
図 10 (d), (e), (f) は無向グラフである.矢印がないのは双方向の関係を示している.これらは以下のような隣接行列となる.
\begin{eqnarray*} M_{(d)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(e)} = \left[ \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(f)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
無向グラフでは関係が対称となるため,行列も対称になっていることに注意して欲しい.左上から右下の対角線に対して同じ形になっている.このような行列を対称行列と言う. ここで行列の形の説明をしておこう.対角成分というのは左上から右下の対角線上にある要素である.3x3 の行列では以下の d 部分である.
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} d & & \\ & d & \\ & & d \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
対称行列というのはこの対角成分を挟んで同じ値のあるものである.次の行列には a,b,c がそれぞれ2つづつある.対称行列では同記号の部分には同じ数字が入っている.
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} & \mbox{a} & \mbox{b} \\ \mbox{a} & & \mbox{c} \\ \mbox{b} & \mbox{c} & \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\(M_{(f)}\) の対角成分を除いた行列は,以下のように対称になっている.
\begin{eqnarray*} M_{(f)} = \left[ \begin{array}{ccc} & 1 & 0 \\ 1 & & 1 \\ 0 & 1 & \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
Figure 10: A graph examples represents a relationship among three nodes. |
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} a_{11} & a_{12} & a_{13} \\ a_{21} & a_{22} & a_{23} \\ a_{31} & a_{32} & a_{33} \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
図 10 (a) は点1から点2への矢印がある.この時,行列の\(a_{12}\) 要素が 1 になる.したがって,この場合の隣接行列は以下のようになる.
\begin{eqnarray*} M_{(a)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
以下,図 10 (b), (c) の例を示す.
\begin{eqnarray*} M_{(b)} = \left[ \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(c)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
図 10 (d), (e), (f) は無向グラフである.矢印がないのは双方向の関係を示している.これらは以下のような隣接行列となる.
\begin{eqnarray*} M_{(d)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(e)} = \left[ \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ 0 & 0 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\begin{eqnarray*} M_{(f)} = \left[ \begin{array}{ccc} 0 & 1 & 0 \\ 1 & 0 & 1 \\ 0 & 1 & 0 \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
無向グラフでは関係が対称となるため,行列も対称になっていることに注意して欲しい.左上から右下の対角線に対して同じ形になっている.このような行列を対称行列と言う. ここで行列の形の説明をしておこう.対角成分というのは左上から右下の対角線上にある要素である.3x3 の行列では以下の d 部分である.
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} d & & \\ & d & \\ & & d \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
対称行列というのはこの対角成分を挟んで同じ値のあるものである.次の行列には a,b,c がそれぞれ2つづつある.対称行列では同記号の部分には同じ数字が入っている.
\begin{eqnarray*} \left[ \begin{array}{ccc} & \mbox{a} & \mbox{b} \\ \mbox{a} & & \mbox{c} \\ \mbox{b} & \mbox{c} & \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
\(M_{(f)}\) の対角成分を除いた行列は,以下のように対称になっている.
\begin{eqnarray*} M_{(f)} = \left[ \begin{array}{ccc} & 1 & 0 \\ 1 & & 1 \\ 0 & 1 & \\ \end{array} \right] \end{eqnarray*}
補足:読者の一人から自己参照リンクは有向にはならないという指摘があった.これは正しい指摘である.なぜなら有向リンクは 「A は B を好き」か,「B は A を好き」のいずれか一つが成り立つ時のみ存在するが,自己参照の場合には A = Bであるので,一方だけ成立することはないためである.つまり「アリスはアリスを好き.」かつ「アリスはアリスを好きではない.」が同時に成立することはないので,自己参照リンクは無向リンクとなる.
ReplyDeleteご指摘に感謝します.
2013-1-23(Wed)