Skip to main content

ドイツにおける機会不均等(差別)の扱い (8)

第7節 例

第7.1節 私が仕事をしている会社の場合

私が仕事をしている会社には,差別問題のコードがある (差別は禁止されている).問題があればそれを会社に報告することができ,そのための情報が提供されている.

私がドイツで会社へのインタビューを受けた時には,会社側は表向きには国籍を尋ねることができなかった.しかし,ドイツでの就労許可が取れるのかという形でパスポートに関する情報を尋ねることは可能なようである.

第7.2節 労使協議会での最近のニュース記事例

差別は罪であるために,差別問題が差別という形でそのままでることは少なく,状況に大きく依存するケースが大半である.差別ということであれば,市民はその罪を警察に届ける義務がある.会社内部で差別を見過すことは懲戒処分になる可能性がある.

最近の一例としては,労使協議会で他を公に侮辱した場合の顛末の記事がある.Spiegel online の記事で,Verfahren zur Amtsenthebung: Daimler-Betriebsratsmitglied applaudiert Pariser Attentätern (告発: ダイムラーの労使協議会メンバーがパリのテロ事件を賞賛) [1].労使協議会は従業員の立場を保護するかそうでないかを選択する必要がある場合がある.シュピーゲル・オンラインの記事によると,今回問題となった人物は,労使協議会の役員メンバーであり,会社側が他の従業員よりも簡単に辞職させることができない地位にある人物である.その人物が,ソーシャルメディアで,「Jeder Mensch zahlt fürseine Taten! Fuck Charlie Hebdo (誰もが自分のしたことには責任を持つべきだ!シャルリー・エブドの畜生)」という書き込みを行なったことが問題となった.彼はこの公の書き込みの責任をとらされて,労使協議会のメンバーから外された.(会社には残れたようであるが詳細は不明)

第7.3節 差別となる場合の例

会社の仕事の面接で「あなたは妊娠していますか?」「あなたの妻(夫)の仕事は何ですか?」など,仕事に関係ないことであれば,性別,妊娠の有無,年齢,国籍,家族,障害などについて尋ねることは違法である.これは米国の雇用機会均等委員会 [2] の定めることとほぼ同じである.会社の面接で同席している機会均等役員はこれらの質問を止める義務がある.不適切な質問の例は [3]にある.

会社の仕事の面接時に会社側が労使協議会のメンバーに同席を求め,面接を受ける人達を違法な質問から守ることは広く行なわれている.これはまた会社側にもメリットがある.なぜなら面接を受けた人物が「会社に仕事の面接で違法な質問をされた」と提訴されることを予防することにもなるからである.(労使協議会は第三者的な役割りを果たすことができるので,会社側はいわれのない訴訟を避けることができる.)

表記について

本報告では Behindert の翻訳を Wikipedia [4] に従い「障害」と表記した.

参考文献

  1. Spiegel online, Verfahren zur Amtsenthebung: Daimler-Betriebsratsmitglied applaudiert Pariser Attentätern (Impeachment: Daimler-works-council member applauds Paris terrorists, http://www.spiegel.de/wirtschaft/unternehmen/charlie-hebdo-schmaehung-daimler-betriebsrat-droht-amtsenthebung-a-1014702.html, 2015-1-23(Fri), (Online; accessed 2015-4-2(Thu))
  2. Wikipedia en, Equal Employment Opportunity Commission, https://en.wikipedia.org/wiki/Equal_Employment_Opportunity_Commission, (Online; accessed 2015-4-2(Thu))
  3. test.de, Bundesarbeitsgericht: Schwangerschaft darf geheim bleiben, https://www.test.de/Bundesarbeitsgericht-Schwangerschaft-darf-geheim-bleiben-1082989-0/, (Online; accessed 2015-4-3(Fri))
  4. Wikipedia ja, 障害者: 表記・呼称, https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E8%80%85#.E8.A1.A8.E8.A8.98.E3.83.BB.E5.91.BC.E7.A7.B0, (Online; accessed 2015-4-5(Sun))

謝辞

この記事を書くにあたって以下の人達の協力を得ました: D.S, K.K.M.R, ここに感謝いたします:

Comments

Popular posts from this blog

共有メモリによるプロセス間通信

Unix の共有メモリを使ったプロセス間通信について調べて実験をしてみた.対象は1つのホスト上での複数のプロセスである.ネット上でいくつか例題はないかと探したが,どうも良い例となるコードが見当たらなかった.結局はある解説記事と,Stack Overflow の議論と,man page を見て作ってみたものになったので,例をここに置くのも有用かと考え,この記事を書く.(もしかしたら探し方が悪くて良いコード例をみつけられなかっただけかもしれない.) mmap を使うかどうかという話がいくつもでていたが,POSIX の方向としては,shmem_open と mmap を使うという方向があるということだったので,それを信じてその形での実装を試してみた. 基本的なコードの流れは次のようになる. 共有メモリ領域を1つのプロセスが shm_open() を使って作成する.その際に,プロセス間で共通の文字列を識別子(``identifier'')とする.(Linux ではこれが /dev/shm/identifier のように見える.) 共有メモリ領域を mmap() でメモリにマップする.共有メモリポインター (shared_ptr)が得られる. shared_ptr を使って複数のプロセスで通信をする. 利用終了後は munmap() をつかってマップを消す. 共有メモリオブジェクトを shm_unlink() によって消す. 以下に示すプログラムは,server と client の2つのプロセスが共有メモリを使って通信をするものである.ここで,server プロセス数と client プロセス数は共に 1 を仮定する.server と client は自分の領域にしか値を書き込まないことで,ロックを避けている.互いに相手の値を読み,それよりも1大きい数を一定の期間ごとに自分の領域に書くという例題である.シンプルではあるが,共有メモリで通信をする基本としては十分なものだと思う.ソースコード(shmem_test.cpp)を以下に付加する.ソースコードのコメントにコンパイル方法とどのように利用するかを書いておく. /*   Shared memory inter process communication minimal exa...

複数の線を持つ線グラフを Jenkins の plot plugin で描く方法

私は毎夜のソフトウェアテストを自動化するために Jenkins というツールを使っています.今回は, valgrind  を使ってメモリーリークのテストを自動化することにし ました.その際,エラーの数の結果をグラフとして表そうと思って, Plot plugin  を使うことにしました. Plot plugin の例図からは,複数のデータラインを描くことができるのは明らかなのですが,どうやったらいいのかは参照のページや,例としてあった Perl script,plugin 中の help からは私にはよくわからなかったのです. ここで重要な考えは,それぞれのデータラインにはそれぞれの出力ファイルが必要ということでした.私はこれを誤解していました. 例として,ビルドの時に次の property データファイルを出力します.それぞれのファイルが1つのデータラインを表します. valgrind_trunk_result.definitely.property valgrind_trunk_result.indirectly.property valgrind_trunk_result.possibly.property それぞれのデータの中身は1行のデータ点です.たとえば, valgrind_trunk_result.definitely.property ファイルの中身は次のような1行 です. YVALUE=0 このファイルを ${WORKSPACE} ディレクトリ以下に出力します.ここで," WORKSPACE " は jenkins が提供する環境変数です. 図1が私の plot plugin の設定を示しています.これは jenkins の config 画面です.3つの data series があって,それぞれにデータファイルがあります. Figure 1: Plot plugin configuration in Jenkins 図2が結果です.複数の線が描かれているのがわかります.(実際には 3 本の線がありますが,最初の線と2番目の線が同じデータなので,重ねって見えません.) Fugure 2: Plot data with multiple data lines

マルコフ行列の中の著者達: どの著者がもっとも人々に影響を与えたのか? (8)

隣接行列 行列は数を二次元のます目上に並べたものである.これは数の表のように見える.ある規則で数を並べると,それがグラフを示すことと同じことになる.それを説明しよう.行列はグラフを表現するだけではなく,さらにいろいろなことができるのだが,ここでは特にグラフの表現をすることに集中して説明する.行列に関してもっと詳しく知りたい人には,文献 [1] をお勧めする. 行列について述べる動機はグラフを記述することにある.ここでいうグラフを表現する方法の一つとして隣接行列がある.ここでその定義を述べておこう. Definition of adjacency matrix:  n 個の点を持つグラフは \(n \times n\) の大きさの隣接行列で表現することができる.ここで,点\(i\) と点 \(j\) 間に有向辺がある場合,行列の成分 \(a_{i,j}\) を \(1\) とし,辺がない場合には \(0\) とする. これだけである.つまり隣接する点(= 辺で接続されている点)の要素を 1,そうでない要素を 0 とするような行列を隣接行列と呼ぶ. 例として人間関係のグラフを考え,好きか嫌いかの関係を隣接行列で示そう.好きという関係がある場合には点の間に辺を置くとここでは決める.嫌いな場合に辺を置くとしても良いが,私は嫌いな関係よりも好きな関係を知りたいので,今回は好きな関係とする.注意して欲しいのはこういう部分は私が勝手に決めることができるということである.これは事実とかではなくて,問題を解こうとしている人が矛盾が起きない限り,勝手に決めることができる.もし私が,「定義する」とか「仮定する」とか「と,考えてみよう」と言ったら,それは私が決めたことであって,読者には賛成してもらいたいと思っている.もし読者が賛成しない場合,その後の議論は意味をなさない. 次回は具体的なグラフと隣接行列の例としてアリスに登場してもらい,その人間関係を示そう. 参考文献 [1] Gilbert Strang, ``Introduction to Linear Algebra, 4th Edition'', Wellesley-Cambridge Press,  2009