少し前に私はある13歳の少年に算数を数ヶ月教えていました.彼の家族はちょっと遠くに引っ越してしまうため,最後のセッションの日がやってきました.
最後のセッションでは, \(\frac{1}{2}\) と \(\frac{1}{2}\) を合わせるといくつになるかという話で2つの話をしました. \(\frac{1}{2}\) 個のケーキと \(\frac{1}{2}\)個のケーキを合われれば
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1}{2} = \frac{2}{2} = 1
\end{eqnarray*}
と,1になります.分母はそのままに分子をたすという分数のたし算がここにあります.私達はなぜこのようにするのかの理由について議論しました.そしてこうする意味について話し合いました.
そこで私はもう1つの話をしました.あるサッカー選手がある試合で2回のシュートをして1回ゴールしました.ですから,この選手のゴールした率は 2 回のうち1 回のシュートで \(\frac{1}{2}\)です.(シュート2回で1ゴール.) 次の試合でこのサッカー選手はやはり2回のシュートをして1回ゴールしました.ですから,この選手のゴールした率は今回も 2 回のうち 1 回のシュートで \(\frac{1}{2}\) です.2試合分を合わせると 4 回シュートして 2回のゴールですからこの選手のゴールの成功率は \(\frac{1}{2}\) です.
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1}{2+2} = \frac{2}{4} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
これは正しいはずですが,しかし,\(\frac{1}{2}\) と \(\frac{1}{2}\) を合わせたら 1 ではなかったでしょうか? 分数のたし算としてはおかしいですね.ケーキを合わせると
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1
\end{eqnarray*}
なのにゴール率は2試合分を合わせても
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
です.そしてどうして同じ式が違う答えになるかと尋ねました.たし算の答えがいくつもあるのは普通ではありません.1+1 は 2 に等しいが,同時に 1 にも等しいというふうなことはないはずです.ですから両方が正しいはずはありません.
この少年と私はいろいろとこのことについて話をしました.彼は最初はゴール率はケーキと同じく 1 になるはずということを言っていましたが,私がもう一試合加えると,
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{3}{2}
\end{eqnarray*}
となり,これをゴール率で考えれば2回のシュートで3点上げることになります.(得点を「上げる」!) それはおかしくないか? と尋ねると,丁度彼の父親が通りかかって,「すごい選手ならば2回のシュートで3点上げられるかも」と冗談を言いました.しかしまあ,それは無理でしょう.この計算には何か問題があります.
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1+1}{2+2+2} =
\frac{3}{6} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
ならば毎回2回のシュートで1点を上げているこの選手のゴール率として正しいように見えます.分子どうし分母どうしをたす方法が正しいように見えてきます.6回シュートして3得点ならば,2回に1点の得点率です.
しかし,20分ほどして彼はついに何が問題なのかをみつけ,私に言いました.私はすばらしいと思いました.
次回はどうして私が彼にこんな話をしたのかをまとめます.
最後のセッションでは, \(\frac{1}{2}\) と \(\frac{1}{2}\) を合わせるといくつになるかという話で2つの話をしました. \(\frac{1}{2}\) 個のケーキと \(\frac{1}{2}\)個のケーキを合われれば
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1}{2} = \frac{2}{2} = 1
\end{eqnarray*}
と,1になります.分母はそのままに分子をたすという分数のたし算がここにあります.私達はなぜこのようにするのかの理由について議論しました.そしてこうする意味について話し合いました.
そこで私はもう1つの話をしました.あるサッカー選手がある試合で2回のシュートをして1回ゴールしました.ですから,この選手のゴールした率は 2 回のうち1 回のシュートで \(\frac{1}{2}\)です.(シュート2回で1ゴール.) 次の試合でこのサッカー選手はやはり2回のシュートをして1回ゴールしました.ですから,この選手のゴールした率は今回も 2 回のうち 1 回のシュートで \(\frac{1}{2}\) です.2試合分を合わせると 4 回シュートして 2回のゴールですからこの選手のゴールの成功率は \(\frac{1}{2}\) です.
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1}{2+2} = \frac{2}{4} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
これは正しいはずですが,しかし,\(\frac{1}{2}\) と \(\frac{1}{2}\) を合わせたら 1 ではなかったでしょうか? 分数のたし算としてはおかしいですね.ケーキを合わせると
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = 1
\end{eqnarray*}
なのにゴール率は2試合分を合わせても
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
です.そしてどうして同じ式が違う答えになるかと尋ねました.たし算の答えがいくつもあるのは普通ではありません.1+1 は 2 に等しいが,同時に 1 にも等しいというふうなことはないはずです.ですから両方が正しいはずはありません.
この少年と私はいろいろとこのことについて話をしました.彼は最初はゴール率はケーキと同じく 1 になるはずということを言っていましたが,私がもう一試合加えると,
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{3}{2}
\end{eqnarray*}
となり,これをゴール率で考えれば2回のシュートで3点上げることになります.(得点を「上げる」!) それはおかしくないか? と尋ねると,丁度彼の父親が通りかかって,「すごい選手ならば2回のシュートで3点上げられるかも」と冗談を言いました.しかしまあ,それは無理でしょう.この計算には何か問題があります.
\begin{eqnarray*}
\frac{1}{2} + \frac{1}{2} + \frac{1}{2} = \frac{1+1+1}{2+2+2} =
\frac{3}{6} = \frac{1}{2}
\end{eqnarray*}
ならば毎回2回のシュートで1点を上げているこの選手のゴール率として正しいように見えます.分子どうし分母どうしをたす方法が正しいように見えてきます.6回シュートして3得点ならば,2回に1点の得点率です.
しかし,20分ほどして彼はついに何が問題なのかをみつけ,私に言いました.私はすばらしいと思いました.
次回はどうして私が彼にこんな話をしたのかをまとめます.
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