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コロナウイルスの日本での増加量の異常に見える統計値に対する心配

コロナウイルスに関しては様々な記事や情報があります。既に感染の始まった今,一つの大事な点は,まず命を救うこと,つまり最終的な死者数をどれだけ減らせるかだと思います。ここであまりに急激に患者数が増えると社会にある病院では対応できず,医療システムが崩壊する危険性があります。その場合には助かる命が救えないことが頻繁に起こり,これをいかに食い止めるかが重要になります。

このために重要なデータが患者数の移りかわりです。いくつかのデータがありますが,John Hopkins の Data Repository  のデータを元にして解析した Aatish's Exponential/Logistic Curve-Fitting Site があります。

これは毎日更新されていますが,これを見ていたら,日本のデータの異常なことに気がつきました。

まずは現在の感染者の数と,最近の週で増加した数のグラフです。日本は他の国々と比較して確認された感染者に対して新しくみつかる感染者の数がかなり少ないのです。(図 1 では日本のみが例外的に下まわっている。)

図 1: COVID-19 全感染者の数と,最近の週で増加した数

図 1 出展: minutephysics: How To Tell If We're Beating COVID-19 (いつコロナウイルスに勝利したかはどうしたらわかるのか)

感染者のみつかる割合が少ないのはいいじゃないか。と思うかもしれません。しかし,どの国も同じような傾向があるのは,基本的に同じ病気だからなはずです。国によっては町ごと封鎖してしまうような対策をとる中,日本が特に他の国に比べて強く移動の制限をしているとは聞いていないので,疑問に思います。またこのグラフは両対数グラフなので 3 目盛りが 100 倍になっています。日本の感染者の率が少しだけ違うのではありません。日本は他の国々に比べて数十倍の違いがあります。

次は感染の速度 (確認された患者数が 2 倍になる日数) を見たグラフです。誤差の範囲を考慮しても 10 日を越えているのは日本のみです。誤差範囲内で越えている国もありますが,それも日本を入れても数例で例外的です。この 2 つのグラフは毎日自動生成されるため,軸の範囲が違うことを注意して見て下さい。感染は対策がなければ指数的増加をするものですから,倍になる日が 1 日違うというのはかなり大きいものです。(指数的増加についての補足の資料は以下に示します。)

図 2: COVID-19 国別倍増加日数 (1) 日本含む (10 日越えの国は例外的)

図 3: COVID-19 国別倍増加日数 (2) (10 日越えの国はない)
図2,図3出展: John Hopkins の Data Repository
https://github.com/CSSEGISandData/COVID-19 と
Aatish's Exponential/Logistic Curve-Fitting Site
https://github.com/aatishb/covid/blob/master/curvefit.ipynb

私は疫学者ではないので,日本だけ外れているように見えるこの状況が本当に異常なのかは判断できませんが,それにしても私には異常な値に見え,心配です。

現状で基本的に効果があるとわかっている対処方法は,
  • 社会的接触を避ける(出歩かない)
  • 接触時の感染可能性を下げる(頻繁な手洗いなど)
  • 検査によって感染者を知り,隔離する
  • 病院のベッド数を増加させる (死者の減少)
などです。上記のうち,個人でできることもありますが,特に検査をすることは,何が起きているかの把握になります。まるで目が見えるか見えないかほどの違いがあります。何が起きているか把握できない場合には手探りしかできず,対策が上手くいっているのかも不明なので,検査は重要な手段です。この部分は社会が対応できることであり,それに対応できた国もいくつかあります。この情報に基づいて病院のベットの数はどれだけ増やすべきか,外出の制限はどれだけの期間をどうするかなど,「どれだけ」の対応をせまられます。その場合現状の感染者数がどれだけなのかという情報は判断と対策に不可欠です。このデータがあくまで私からみた場合ですが,変に見えるということを心配します。皆さんにはどう見えますか?

現時点ではまだどうなるかわかりませんが,この心配が杞憂であらんことを。

以下はデータを読み解く時の参考になる資料です。


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