経済の本を読んでいた時,なんとはなしに隣にいた兎に「あなたには声があるの?」と尋ねた.「人々の生産性は上がっている.世界の人口はあまり増えなくなっている.どうしてそれでもこんなに問題があるのだろう?」 兎は私を見ていた.兎の名前はエゴン(Egon).今日はスティグが学校に上がる最初の日だ.「なぜなのか知らないの?」エゴンが言った.または私の一部がエゴンが言っているように答えたのか.「わからない.結局『人間は愚かだ』と言うことはできるけれども,それはあまり助けにならない答えだ.たとえそれが真実だとしても.」今度はエゴンは無言だった.だから私は幻聴でも聞いたのだろうと思った. Egon ふとエゴンの檻を見て聞いてみた「あなたの檻は小さすぎないかい?」. Egon: 「小さいね.もっと大きいのがいいね.君のはどうだい?」 私: 「私の檻? 檻なんかないけど」 Egon: 「自分の檻も見えないのかい? 君は自分で作って自分でその中に入ったのだろう.私の知っている限り,動物の中でそんなことをするのは人間だけだけれどもね.」 私: 「刑務所のことかな.自分で入りたいという人は普通はいないと思うけど」 Egon: 「いやいや,君らが街とか読んでいる檻だよ」 私: 「... 街がどうしたら檻なんだい?」 Egon: 「君らが街を作る前には,誰でもどこに座っても文句はなかった.今は街の中では座れる所も寝られる所も決められている.自分の巣も持てない人もいる.街の中のほとんどは自由に立つこともできない.目に見えないかもしれないが,檻があるのとどこが違うのかい?」 私: 「... ふーん.なるほどね.街をそう考えたことはなかったかな.」 Egon: 「別に物理的なものじゃなくてもそうだ.資本主義とかなんとかというものを作って,自分達でその中に入っている.それがもしかしたら危険かもしれないし,突然崩壊するかもしれないと知っていても,君らはその中で暮らしている.そういうあぶない所からでも外に出たくなかったりしないのかい.」 私: 「...」 Egon and me エゴンはここで話すのを止めた.檻の中にいたのは実は私の方なのかも,とこの奇妙なアイデアについてもう少し考えてみた.いやいや,実は1つの檻ではなくて,何重もの檻の中に...