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Showing posts from August, 2015

兎のエゴンと私

経済の本を読んでいた時,なんとはなしに隣にいた兎に「あなたには声があるの?」と尋ねた.「人々の生産性は上がっている.世界の人口はあまり増えなくなっている.どうしてそれでもこんなに問題があるのだろう?」 兎は私を見ていた.兎の名前はエゴン(Egon).今日はスティグが学校に上がる最初の日だ.「なぜなのか知らないの?」エゴンが言った.または私の一部がエゴンが言っているように答えたのか.「わからない.結局『人間は愚かだ』と言うことはできるけれども,それはあまり助けにならない答えだ.たとえそれが真実だとしても.」今度はエゴンは無言だった.だから私は幻聴でも聞いたのだろうと思った. Egon ふとエゴンの檻を見て聞いてみた「あなたの檻は小さすぎないかい?」. Egon: 「小さいね.もっと大きいのがいいね.君のはどうだい?」 私: 「私の檻? 檻なんかないけど」 Egon: 「自分の檻も見えないのかい? 君は自分で作って自分でその中に入ったのだろう.私の知っている限り,動物の中でそんなことをするのは人間だけだけれどもね.」 私: 「刑務所のことかな.自分で入りたいという人は普通はいないと思うけど」 Egon: 「いやいや,君らが街とか読んでいる檻だよ」 私: 「... 街がどうしたら檻なんだい?」 Egon: 「君らが街を作る前には,誰でもどこに座っても文句はなかった.今は街の中では座れる所も寝られる所も決められている.自分の巣も持てない人もいる.街の中のほとんどは自由に立つこともできない.目に見えないかもしれないが,檻があるのとどこが違うのかい?」 私: 「... ふーん.なるほどね.街をそう考えたことはなかったかな.」 Egon: 「別に物理的なものじゃなくてもそうだ.資本主義とかなんとかというものを作って,自分達でその中に入っている.それがもしかしたら危険かもしれないし,突然崩壊するかもしれないと知っていても,君らはその中で暮らしている.そういうあぶない所からでも外に出たくなかったりしないのかい.」 私: 「...」 Egon and me エゴンはここで話すのを止めた.檻の中にいたのは実は私の方なのかも,とこの奇妙なアイデアについてもう少し考えてみた.いやいや,実は1つの檻ではなくて,何重もの檻の中に

今さら聞けないコンピュータ: 私の USB スティックに 8GB と書いてあるのはどういう意味ですか?

はじめに ここでは,「コンピュータが苦手,でもやってみたいことがある.」という方のお手伝いをしながら答えたちょっとした疑問について時々書いていこうと思います. ビデオ上映会をしたい.どんな USB スティックならいいのですか? 私の知人の中には市民の活動としてこういうことを伝えたい,勉強したいという人が何人かいます.たとえば,国際結婚をした場合,子の国籍はどうなるのか,などということを自分達で勉強したいということがあります.ほかにもいろいろと知りたいことがあるでしょう. そういうことについて調べて,資料となるビデオもある,では皆で共有しましょうという時,「とにかくコンピュータは苦手で上映会なんてどうしていいのか,でもできればやってみたい」という方がいます.私はその方のお手伝いを少しすることになりました.ビデオを30人位の人達で見るために,プロジェクター(ビーマー)を使って上映会をしたいということです. その方はとにかくコンピュータが苦手ということなのですが,でもデスクトップのコンピュータは持っていて,メイルを読み書きしたり,あるいは Web を検索するのならなんとかなるということです.私にとっては,それは十分なことだと思います.メイルのやりとりができて Web を検索できるのなら,コンピュータを使えています. 資料となるビデオ映像の著作者の方に特定の条件で上映するの許可を頂いて権利関係はなんとかなったものの,ノートコンピュータを貸して下さる方のノートには DVD ドライブがないということで,USB のスティックに映像を入れられないかという問い合わせがあり,私に次の質問が来ました. 「私の手元に 8GW と書かれた未使用のスティックがあります.これで良いでしょうか?」 はてさて,8GW とはなんだろう? W は普通ワットという単位で,8GW を電気で考えると世界有数の発電施設並みです.もしかして 8GB の間違いでは? と思って確認したところ,実は 8GB の間違いとわかりました. また,できればいろいろコンピュータについても説明して頂けるとありがたいということでした. コンピュータでは情報をファイルという単位で記憶します.ファイルというのはもともと紙の書類を綴じたものを指しました.ファイルにはどれだけの情報を記憶されている

ビデオ字幕のタイミング作成の半自動化

概要 私はボランティア活動として誰もが無料で利用できる算数の解説のビデオの翻訳をしている.このビデオに字幕をつける作業に費やす時間が意外に多くて困っている.作業の流れ(ワークフロー)から,字幕作成時には既に音声の入ったビデオとそのスクリプトがあるので,これを使ってできるだけ自動で字幕を作成できないかと考えた.今回,タイミング作成のエンジンとして YouTube の transcript機能を使って,半自動で字幕タイミングを作成したところ,作業時間をある程度短縮することができた.YouTube のtranscript 機能では text フォーマットが入力となるので,srt ファイルを text にする filter を実装した.また,transcript 機能でタイミングを作成した場合,字幕に不自然な改行が入ることがある.そこでこれを除く機能も実装した.以前,13分のビデオの字幕のタイミング生成をした時,手動で 4 時間半程度かかったが,今回の方法でほぼ同じ長さのビデオの字幕タイミング作成を3時間弱程度に短縮することができた.今回作成したソフトウェアは new BSD license で公開しているので,誰でも自由に利用することができる. 字幕のタイミング作成の半自動化 私はボランティア活動で「どうして分数の割り算はひっくりかえしてかけるのか」とか「そもそも分数で割るというのはどういう意味か? 3で割るという意味ならわかるが,2/3 で割るとはどういう意味なのか?」のような算数の解説のビデオ作成をしている.その際に字幕も作成するのだが,このタイミングの作成にかなりの時間をとられている.例えば,13分のビデオの字幕タイミング作成に4時間半程度かかったことがある. しかし,私には字幕のスクリプトがあり,そして音声も作成している.今回,これを使ってできるだけ字幕のタイミング生成を自動化できないかをSundayResearch のテーマとした. 私の友人の一人に音楽の mp3 ファイルをフーリエ解析し,そこからリズムをとり出すというソフトを作った人がいる.その人はダンスダンスレボリューションというゲームのマットを持っているのだが,ゲーム機は持っていないので,それで遊ぶために作ってみたということである.最初は字幕作成には音声の解析をすべき